
[ 逆N型共通の前提 ]
逆N型のエゴグラムパターンは3タイプあります。いずれも「"No"と言うことができる」特徴を持っています。N型が「"No"と言えない」のに対して、逆N型は自分の意見ややりたいことをはっきりと主張するのです。「逆N型は"逆に"Noと言える」タイプと覚えておくとよいでしょう。
逆N型の場合、押しなべてAC(従順な子供の自我)が比較低値或いは絶対低値であることから「人の評価をあまり気にせず」、一方でFC(自由な子供の自我)が比較準高値又は比較高値或いは絶対高値です。従っていずれのパターンでも「言いたいことを言う」エネルギーがACエネルギーを上回っていて、だから「"No"と言える」わけです。
またいずれの場合もFC(自由な子供の自我)が比較準高値或いは比較高値又は絶対高値であるため、憚りなく自由に自己表現ができます。加えてCP(父親的自我)が比較高値或いは絶対高値であることから、理想や基準を大切にし、周囲に迎合することなく(低AC)、それを追い求めていくことができます。
一般論としては、NP(母親的自我)とACが高いのが日本人の特徴です。よって日本社会では、周囲に合わせることが日本人らしい美徳とされています。そうしたことから逆N型は日本人には珍しく、貴重なタイプと言えるでしょう。その個性と強い意志は、周囲に刺激を与え、新たな価値を生み出す可能性を秘めています。
一方、CPとFCエネルギーの高さによって「なにごとも積極的にこなす」ものの、NPとACエネルギーの比較低値或いは絶対低値によって「周囲への思いやりや気配りが不足する」ことが間々あり、対人関係のトラブルを起こすことがあります。それでもAC低値且つFC高値であることから、いちいちくよくよせず、力強く前進していきます。
言いたいことを言い、やりたいことをやるタイプなので、トラブルをねちねちと後に引きずることはありません。対立した相手とも、その直後にケロッと談笑したり、握手したりできる特徴を備えています。
こうした傾向は日本人に少なく、その分注目されやすく、また頼もしく思われることも多いようです。ただし、逆N型の中でもⅢ型だけは注意が必要です。「頼もしい」のではなく「危なっかしい」のです。「怖い」のです。
【 本論 】
逆NⅠ型は、その名の通り「孤高の人」という表現が似合う感応、言動パターンを有しています。特筆すべきは、CP(父親的自我)とA(大人の自我)のバランスがとれており且つ双方とも高エネルギーであるということです。従って現実味のある整合性のとれた正しい理想追求を力強く行っていきます。
このタイプの人は、社会ルールや規則を徹底して順守しようとし、それらを蔑ろにする人に対しては容赦なく指摘や注意、場合によっては詰め寄ったりします。つまり仕事にしてもプライベートにしても、全方位的に自己基準を明確に持ち、基準に従った行動を自他に求める傾向が強いということです。
例えば、日々の行動スケジュールを綿密に立て(高CP&高A)、その通りに物事が進まないとイライラすることもしばしばです。このため、NP(母親的自我)の値が過ぎて低いと柔軟さに欠け、他者に対する不寛容さが際立つようになります。このような厳格さを以て理想を追求する性質が強調されるのが「孤高のタイプ」なのです。
従ってTA(交流分析)において逆NⅠ型は、「さあ、とっちめてやるぞ」というゲームに陥りやすいと言われます。これは粗探しのゲームです。自己主張が十分に通じなかった子供時代の経験を引きずりながら、親から受け継いでしまった手厳しさがゲーム展開の原動力になりやすいようです。CP高値とNP低値のセットは、他者に対する否定的な態度や不寛容さを表出させやすく、その実、内面には嫉妬と羨望が渦巻いていたりして、これらが行動エネルギーとなる”とっちめ”が展開していくのです。
しかし逆NⅠ型には大きなプラス面もあります。それは、マイナス面に注意をすれば、指導者として非常に頼もしい存在となる可能性があるからです。先ず組織の中ではルールを遵守しますし、仕事全般においては一貫した行動基準を持ち、得てして組織の秩序と仕事の方向性を保つための重要な役割を果たします。確固たる倫理観と規範は、チームのパフォーマンスを「量・質・速さ」の面でバランスよく向上させるでしょう。
一方で、チームメンバーと職位や権限の差がない場合、組織的な業務遂行上のリスクとして、過度な批判性と他者への不寛容さによるチームダイナミクスの硬直化、質の低下などが挙げられます。チームメンバーとの摩擦、結果としての人間関係が悪化、協力関係の棄損の可能性は、このタイプの場合、小さくはないでしょう。
このため逆NⅠ型の人は、定期的かつ具体的な自己反省の機会を設け、そうしたリスクをセルフコントロールしていくことが大切になっていきます。単純な自身の価値観や行動についての是非に留まらず、自分の行動がチームにどのような影響を及ぼしているのかを理解し、必要な柔軟性を身につけることが推奨されます。
NⅠ型の人は、そもそもCPもAも高いので、誰かがつきっきりでサポートする必要はありません。視野が広がれば、自ずと視座も高まり、よりよく行動変容が可能です。
更に逆NⅠ型の指導者には、自他の感情認識や理解を深めるためのトレーニングも推奨されます。組織への感情のフィードバックとコミュニケーションスキルを向上させることで、職場の過度の緊張状態を解消し、職場を構成する一人ひとりのストレス葛藤の蓄積を軽減し、配下の人々とより豊かな人間関係を構築することができるようになるでしょう。
チームリーダーとして、"孤高"の印象ばかりが先行するような場合、人間関係の築き方を見直すことにより、「孤高の人」としてだけではなく、頼れる指導者、ついていきたくなる指導者へと進化していけるでしょう。
このように、逆NⅠ型(孤高の人タイプ)は、その特異なパターン故に幅広く、力強い影響力を持つことができますが、同時に人間関係において、予期せぬ問題を引き起こす可能性も秘めています。従って自己反省と自他の感情理解を通じて、周囲を隔絶しそうになる自らの内面的性向バランスをメンテナンスし続けていくことが大切です。






