
[ N型共通の前提 ]
日本人はAC(従順な子供の自我)とNP(母親的自我)が高い傾向にあり、その要素を含んだN型エゴグラムは、日本人によく見られるタイプであると言えます。
このタイプは、他人の気持ちや周囲の反応を非常に気にするため(比較又は絶対高AC&比較又は絶対高NP)、頼まれたことを断れないことが多いので「Nは"No"と言えないタイプ」などと言われています。
他人のために一生懸命になりすぎて、自分自身が楽しむことができない特徴は、高AC&高NPに対してFC(自由な子供の自我)が低いというアンバランスにも起因しています。この結果、ストレスによる葛藤が溜まりやすくなります。
このようなN型の傾向は、日本人の利他的で忍耐強い性格をよく示しているとも言えますが、このようでは自分自身を犠牲にしがちとなります。また、溜まったストレスによる葛藤が原因して体調を崩しやすくなり、自己実現を妨げることも間々あります。
このタイプのエゴグラムパターンは「You are OK, but I'm not OK.」の心理を表しています。自己実現に向けた理想的な心理は「I'm OK. You are OK.」であり、これを目指すことが大切です。
【 本論 】
このタイプの人は、そのタイプ名称が示す通り「仕事以外に楽しみはないのかい?」といった印象で捉えられがちです。"ワーカホリック"とは「仕事の虫」とも呼ばれ、いわゆる「仕事中毒」のような日常を送る人を指します。しかしこのタイプの場合、それは愛すべき皮肉としての表現であり、決して卑下されているわけではありません。
NⅢ型は、N型の中で最もA(大人の自我)が高く、本人の自我バランスの中ではACと並んで比較最高値或いは絶対最高値を示します。そして準じて比較高値なのがNPのエネルギー。これらのバランスによってAの高エネルギーによる「高い現実検討味と高い処理能力が向かう先」は、物事のあるべき姿や理想ではなく(比較或いは絶対低値のCP/父親的自我)、ただひたすら目の前や周囲にいる人々の期待や要求に応える方向ということになります。
N型の共通特徴として「無批判に頼まれごとを受けつける」、そして「"No"と言えない」ことが挙げられますが、もちろんNⅢ型もそうです。しかしⅠ型と違って、またⅡ型より一段と高いAによって引き受けた頼まれごとのほとんどを、超速でテキパキと片付けていきます。すると余裕が生まれます。だからその余裕をめがけてまた頼まれごとが舞い込み、それを無批判に引き受けます。ACが高いのでとてもにこやかに受けつけます。そして高いAでまたぞろすさまじい勢いでそれを片付けていきます。そして余裕が生まれ、そこに更に案件が・・・。
こうしたスパイラルの中で、捌く業務量も、抱える業務量も膨大なものとなっていきますが、しかし処理できてしまうので葛藤を溜め込んでいるようには映らず、一方で高いAC&NPエネルギーのニコニコと積極的な役立ち姿勢があるものですから、あたかも膨大な依頼事項や仕事そのものを楽しんでいるかのように錯覚させるのです。そうしたことから「仕事以外に楽しみがない人」であるかのような印象を持たれてしまうということです。
FCは本能の赴くままにやりたいことをやり、言いたいことを言う自我で、この自我が優勢のまま一定期間を過ごすと、どんどんと感性が高まっていきます。理屈や他者の顔色ではなく、純粋な内発的動機と直観によって行動する機会が多くなるので、直観力が鍛えられるのです。
一方で逆の場合は感性が鈍化していきます。そして一定期間を経て、そのうち自分がなにをしたいのか、どうしたら楽しい気持ちになるのかさえ分からなくなっていきます。自分の内なる声を聴かないことに慣れ、次第にそれに関心がなくなっていくからです。
ですからFCエネルギーが比較或いは絶対低値であるNⅢ型の人の関心ごとは、もっぱら依頼されたことをどう裁くか、そして依頼主の機嫌はどうか、また自分は依頼主に対してサービス精神旺盛に接しているかどうかということになっていきます。FCエネルギーが不足しているので、自分自身の内面には向かっていかないのです。
依頼主や上司にしてみれば、これほど重宝する存在はありません。
自分の好き・嫌いに関心がなく、一方で依頼主や上司のことばかりを考えて奉仕してくれるのですから。
こうなると感謝の言葉を「息を吸うのと同じくらいの感覚で」口にしながら、次々と、益々、過剰なまでに依頼、お願い、指示命令していくようになります。
NPとACが主導権を握った自我状態の人にとって、感謝の言葉はあまりにも甘美で栄養満点です。従って嬉々として更なる要望や要求に積極的に応えていこうとするのです。
しかし感受性が鈍った状態では、自分自身の内なる変化に気づきが不足します。上述のような塩梅で日常生活を送れば、疲れがたまらないわけがありません。疲れに気づかずに更なる疲れを上積みしていくと、当然それが病変となって本人を蝕んでいくようになります。
本来高いAがあれば、理論的な解釈として自分が過労常態であることを理解し、上手にバランスをとっていこうと考えますが、NⅢ型の場合、高いACによる「いい人でありたい」「有用な人でありたい」という願望と、準じて高いNPの「世話をしたい、役に立ちたい」という願望が満たされ続け、ある意味ハイな状態になっているので、そして同時にFCの低さから感受性が鈍化し、自身の内側(心身)に気づきが不足していくので、健康を損ねやすいのです。
他方、CPエネルギーの低さは社会性や公共性への関心の薄さを示唆します。適切な社会性・公共性はAに裏打ちされたCPによって担保されるのです。CPエネルギーの伴わないAエネルギーの最適志向は、NⅢ型の場合、もっぱら依頼者や上司との関係維持や、依頼事項や仕事そのものの処理に向けられます。よって人の役に立ち、重宝がられ、感謝されていい気持ちになっているにも関わらず、依頼者や上司の状態によっては、本人に一切の悪意がないにも関わらず、結果として悪意ある行動の一翼を担わされたりすることがあります。
都合のいいように使われてしまうということです。例えばコンプライアンス違反や犯罪に加担してしまい、それでいて「"No"と言えない」ので、その悪意ある行為またはその集団から足を洗うことができなくなってしまうのです。
実際のところ、N型はいずれのタイプもCPエネルギーが比較低値或いは絶対低値なので、社会性に課題があります。極端にNを示すエゴグラムパターンの場合、本人が意図しないまま、高いACで断り切れず、また集団に埋没している状態が心地よいので「皆がやっている」からという感覚的な理由で悪事に手を染めてしまいがちです。
強引な手法のセールスのみならず、特殊詐欺グループのリクルーターたちもまた、「Nを狙え」というセオリーを持っています。注意が必要です。
NⅢ型の人は、皆がやっていることが、必ずしも正しいとは限らないということを強く自分自身に刷り込む必要があります。そのうえで、なにが正しくて、なにが正しくないのかが明確になるよう、確固とした価値観が必要になってきます。
そのためにはCPのエネルギーは欠かせません。これを極端に上昇させて他の自我との相性を悪くしてしまうのも困りますが、しかし好ましい社会人、有用とされる企業組織人として求められるためには、CP値は日本人の平均エリア内に位置するのでは「低い」ものと理解しておく必要があるでしょう。平均エリアなら「皆が騙されるように騙され」「皆が足元を掬われるように掬われ」「皆が手を染めてしまうように悪事に手を染めてしまう」のですから。
NⅢ型は、集団や組織にとって非常に有用かつ有能な人材である一方、以下のようなリスクを孕んでいることを再確認しておきましょう。
🔳燃え尽き症候群・・・仕事に生き、自分を犠牲にすることで、心身のバランスを崩し、燃え尽きてしまう可能性があります。
🔳自己犠牲・・・自分の時間を犠牲にしてまで仕事に取り組むため、プライベートな時間を確保できず、活力ある魅力的な人間関係の構築や維持が難しくなる可能性があります。
🔳周囲への影響・・・周囲の期待に応えようと、無理をして仕事を引き受けがちです。結果、健康を損ねてしまって、返ってチーム全体の負担が増すような事態に至る可能性があります。また周囲の成長機会を奪ってしまい、結果としてチーム全体の成長を阻害する可能性もあります。
🔳社会性や公共性の欠如・・・理屈としてのよい・悪いはわかっていても、他者からの依頼内容や集団の同調圧力によっては、意図せず社会不適応な行為に加担してしまう可能性があります。またその行為や集団からの離脱が難しくなる可能性があります。
NⅢ型の人は、高い処理能力と帰属する集団への忠実さを持つ一方で、自分自身を顧みない傾向があります。それは意図的な自己犠牲ではなく、自分自身への関心の低さによるものです。周囲の人々や所属組織は、NⅢ型の人が抱えるリスクに目を向け、彼らが心身ともに健やかに働き続けられるよう、適切なサポートを提供することが重要です。








