
[ U型共通の前提 ]
U型は3タイプありますが、いずれの場合もフラストレーションやストレスによる葛藤を溜め込みやすく、それらの自己浄化が難しいという特性があります。そのため、自己実現がしにくい傾向があるとされています。
CP(父親的自我)の比較高値或いは絶対高値によって批判力が高く理想主義者であるにもかかわらず、一方ではAC(従順な子供の自我)の比較高値或いは絶対高値によって他者の顔色を気にしてしまい、FC(自由な子供の自我)の比較低値とACの比較高値がセットになっているようであれば、自分の意見を言いづらい日々が展開していきます。
例えFCが比較高値であったとしても、ACも同等エネルギーであるので、言いたいことが言えていそうで、実は他者の顔色を気にして言いきれていない状況が多くなります。従っていずれのケースでもイライラか悶々とした葛藤が溜まるわけです。
一方で、そうした現状を打開するために必要な客観と処理能力のA(大人の自我)のエネルギーが低いので、そうした状況がなかなか改善しなく、誰かの助けを借りるかまたは環境から逃避しなくては、その状況から抜け出すのが難しいとされています。
いずれのU型であっても、ACエネルギーによって普段はにこやかで素直に見えるものの、その裏では大きな葛藤を抱えていることが多くあります。このままの状態では自己実現が難しいため、周囲の人が親身になって相談に乗り、場合によっては環境要因のカウンターパートに理解を求めながら負担を軽くしてやり、同時に、寄り添いながら感応や言動パターンの改善を図っていく必要があります。
【 本論 】
エゴグラムにおけるUⅠ型、つまり「葛藤タイプ」は、その特異な心理構造によって、自分自身の葛藤状態に気付くことが難しく、他者からの指摘やサポートがない限り、この状態から抜け出すのは困難です。従って放置されていると、どんどん健康状態がむしばまれていくことが懸念されます。
FCが低いと自分自身への関心が浅くなるので、自身の変調に気づきを得にくくなります。またAが低いと、仮に多少の変調に気づいたとしても、それを論理的に関連付けて特定の疾病の可能性、或いは決定的なマイナス局面へのシナリオであることを自己認知できないのです。
エゴグラムの考案者であるデュセイは、このタイプをW型と併せて「ミスター'X'厭世家」と呼んでおり、その呼び名の通り、このパターンを持つ人々は自己の存在や現状に対する厭世的な態度を示しがちです。問題があっても自力での解決が難しいので、結局諦めるしかなく、人生や社会に対して諦めの姿勢が身についてしまうからです。
このタイプは、依存的でいい子でありたい小さな子供(AC高値)がそのまま大人になったような印象を与え、一方で現実を見極める力が乏しく(A低値)、それでいて自分を立派に見せようとする(CP高値)傾向があります。しかし、依存的な態度(AC高値)から抜け出すことが難しく、この不安定な自我構造が本人たちを葛藤へと導きます。
特に、UⅠ型の典型的な行動パターンとして挙げられるのがTA(交流分析)でいう「はい・でも」のゲームです。このモデルは医者と患者で、UⅠ型患者が表面的には従順で感謝の意を示しながらも、次回診療時には別の不満や要求を突きつけるという形で依存的且つ被害者意識を持った交流を展開していくことを意味しています。「先生、お薬ありがとうございました」→(次回)「あのお薬はちょっと効きすぎるのでもう少し弱いお薬をお願いします」→「先生、お薬ありがとうございました」→(更次回)「あのお薬はちょっと効きが弱くて困りました。もう少し強いお薬を・・・」と、このパターンを延々と繰り返していくのです。
医者側がNP優位型(N型を含む)だった場合、上記のパターンは延々と繰り返されていき、一定の人間関係の下で不毛なやりとりが続くこととなります。
更に、他罰的なCPとすねて甘えたACによって「義足」のゲームも演じられるとデュセイは考えました。心身や境遇の弱点を利用して責任を回避するこのゲームは、「私のようなものがどうして〇〇できようものか」といったニュアンスで諸々の対処に向かおうとするということです。これは、補償神経症とも関係があるとされ、個人の成長や自己実現に対して消極的かつ逃避的な態度を助長することになります。
このようなUⅠ型の特性は、組織的な業務遂行上、さまざまなリスクをもたらします。まず、蓄積され続ける葛藤はコミュニケーションの不均衡を生む可能性があります。表面的には従順(高AC)でも、本心が理解されないままでは、チーム内での摩擦や誤解が生じやすくなります。また、自己防衛的な態度(高CP&高AC)は、責任の回避や業務の停滞につながることがあり、組織全体の効率や成果に悪影響を及ぼしかねません。
自分の行動パターンや思考パターンを理解し、責任を回避しようとする行動に気づくことが大切です。また自分や他人を許し、状況を受け入れ、正当な主張として自分の気持ちを明確に伝えることを選択することが必要です。
組織的な業務遂行上においては、現実的な目標を設定し、達成に向けて努力することで、自信と自立心を育むべきです。現実的な目標であるかどうかは、Aのエネルギーが低いうちは自身で検討することが困難なので、自分が納得するまで周囲の人に解析、アドバイスしてもらうとよいでしょう。
上司や同僚もU型の特性を理解し、彼ら彼女らが無理をしすぎないように適切なフォローを行うことが求められます。オープンなコミュニケーションを心がけ、定期的なフィードバックを通じて、U型の人が無自覚に自分を追い詰めないようにサポートする姿勢が大切です。
つまりはN型同様、放っておいてはいけないタイプなのです。
一方で自立した仕事、人生を送りたいと考えるU型、N型の人は、自我バランスの調整を含めて、自分自身の強みと弱みをよく分析し、業務や自身の健康にマイナスが生じないよう強い意図でコントロールし続けていかなくてはいけません。






